千葉成田ミイラ事件①の再審支援の会

 
今から約15年前の1999年11月、千葉県成田市のホテルで「ミイラ化した男性の遺体発見」というニュースが日本中を駆け巡りました。

 

このいわゆる千葉成田ミイラ事件は、もともと事件性がないものが事件とされた、加害者も被害者もいないところに殺人事件が作られた、まさに冤罪事件です。※事件の全容チャートはこちら

 

この事件で被害者とされたのは小林晨一さん(以下、晨一さんという)です。自宅で倒れ病院に運ばれ、脳内出血との診断をうけ入院していました。回復が思わしくないため、心配した家族は、かねてより信頼をおいていた民間治療家の高橋弘二(以下、高橋という)に治療の依頼をしました。高橋は治療を引き受け、晨一さんはその治療を受けて療養していました。事実はたったそれだけだったにも関わらず、高橋は殺人の首謀者とされ、結果的に、懲役7年の実刑を受けることになりました。

 

当時、民間治療家高橋と晨一さんと家族には、お互いの信頼関係があり、その信頼関係のもとで晨一さんの治療と介護が行われていました。そして、全ての関係者が、晨一さんの回復を願い、最善を尽くしていたのです。つまり、加害者も被害者もいないということを私は断言できます。しかし、警察や検察は、高橋を有罪にするストーリーを押し進めたのです。

 

さて、この「シンポジウムとライブの夕べ」は、第101回目(2013年12月27日現在)を迎えました。

 

開催の目的はただ一つ、「日本の国から冤罪をなくしたい。」ということです。冤罪については、ここ数年日本国内の報道でも耳にするようになってきました。その被害は、当人だけでなく、関係者の人生も巻き込み、時に命までをも奪っていきます。

 

刑事裁判が人間の営みであることを思えば、他の国々の刑事裁判と同じくこの国の刑事裁判にも、誤判による冤罪がありうることを私たちは容易に理解できるでしょう。現にこの国の刑事裁判は、免田事件・財田川事件・松山事件・島田事件という4件もの死刑再審無罪事件を経験し、最近も足利事件、富山氷見事件、布川事件、東電女性社員殺人事件などの再審無罪が確定しています。他にも、死刑事件である袴田事件や名張事件の再審が求められており、福岡事件、菊池事件、飯塚事件などの死刑執行後の再審運動も続いています。

 

千葉成田ミイラ事件も、冤罪誤判を訴え再審を求めています。それはとりもなおさず、冤罪被害の救済の訴えにほかなりません。

 

さて、この「シンポジウムとライブの夕べ」を作り上げているメンバーたちは、千葉成田ミイラ事件に直接、あるいは間接的にかかわったことで、耐え難いほどの冤罪被害を強いられている体験をしています。しかし、決して、高橋弘二も私たちも、個人的な恨みつらみで再審をしたいわけではなく、千葉成田ミイラ事件を、国連人権案件として扱ってもらい、その上で、雪冤プロジェクト、つまり、関東再審弁護団連絡会に本件の再審を委ねたいのです。

 

私たちは、この国の社会と司法が、冤罪被害の防止と救済に必ずしも積極的ではない現状に対し、たとえば労働事件に対する労働弁護団のような「再審弁護団」の必要性を訴えます。アメリカ合衆国のイノセンス・プロジェクトのような冤罪被害者救済のNPOも必要でしょう。研究者と弁護士による「雪冤プロジェクト」運動も緒につき、誤判原因と冤罪被害の実態の解明を始めようとしています。また、2013年には、福岡事件の再審運動を続けている生命山シュバイツァー寺における第1回会議により、「九州再審弁護団連絡会」も発足しました。このような運動が全国に広がり、専門家のみならず様々な人びとが小さな実践を重ねることで、冤罪誤判という司法と社会の罪が自覚され、冤罪被害の救済という使命も実践に移されてゆくでしょう。

 

千葉成田ミイラ事件を経験した私たちだからこそ、「日本の国から冤罪をなくしたい」という切なる願いとともに、2012年1月から、東京23区内の公共の施設で、「シンポジウムとライブの夕べ」を毎週開催し、関東での再審弁護団連絡会の設立を願っています。

 

これらについては、2014年1月22日に全国一斉発売の新刊本『雪冤 冤罪のない社会へ』(釣部人裕著)に詳しいです。そして、この書籍の推薦文として、関東学院大学の宮本弘典教授が、巻頭言を寄稿してくださっています。読者の皆さまが、本書を通じて、千葉成田ミイラ事件の真実に触れられるとともに、冤罪被害の深刻さとその救済の必要性を痛感されることを祈ってやみません。

 

さて、この「シンポジウムとライブの夕べ」は、二部構成になっています。
第1部トークパートでは、なぜ、社会は冤罪を生むのか、私たちが体験した千葉成田ミイラ事件を例にとりながら、冤罪のない社会を実現するためには、具体的に、どのような壁があり、その壁を超えるために、どのように取り組むのがよいのかを、明らかにしていきます。

 

第2部ライブパートでは、この15年間のプロセスの中で生まれ育ってきた子どもたちも多数出演して、皆様に元気いっぱい、笑顔いっぱいの歌や踊りをお届けします。

 

ある日突然、偽りのレッテルを貼られ、社会的に抹殺された状態の中で、悩み苦しみながらも、それを超えて、社会に貢献していきたい、という思いで過ごしてきた大人たち。子どもたちは、その背中を見て、育ってきました。

 

その子どもたちも、偽りのレッテルによる影響を直接的に受ける体験を経て、自分たちの意思で、社会の役に立てる大人になりたい、という思いでステージに立っています。そんな彼らの笑顔に注目していただけたら、と思っています。

 

関東再審弁護団連絡会の設立を願って、祈りを込めたライブです。2014年1月からは、5つのライブ形式で行っていきます(①Scopy You Trinity on Stage、②KEN LIVE BAND on Stage、③バジャンの夕べ、④いのちオンステージ、⑤スペシャル企画「まめーず祭り」(年3回のみ開催))。どうぞ楽しみにしていてください。

 

高橋弘二をはじめとして、私たちは、この千葉成田ミイラ事件という「冤罪」の体験を、得がたい宝物であると思っています。たとえ高橋が先に死んだとしても、その遺志を継いで、本件の再審無罪とともに、社会から冤罪をなくすことに貢献していきます。

 

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